岡田裕子の「ひびわれ日記」

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zoom RSS トロールの森2011出展作「Right To Dry」について

<<   作成日時 : 2011/11/16 01:54   >>

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トロールの森2011での野外展示について語ってみます。
場所は杉並区善福寺公園、11月23日まで開催中です。
お時間ある方は是非おいで下さい。
公式HP
http://www.trollsinthepark.com/


  ----------「Right To Dry」-洗濯物を干す権利について--------------


  以前より、洗濯物が屋外で干されてはためいているのを眺めているのが好きだった。

 我が家だけでなく、他人の家の庭先やベランダで洗濯物がハタハタしていると、「なんだか今日も平和だな」と思えるのだ。

 しかし欧米では、洗濯物を外に干すのはタブーとされる。諸説あるが、<外に干す=乾燥機を買えない貧困層の象徴>とみられていて、「景観が悪くなりその住宅地の価値が下がる」というのが大きな理由のようだ。
最近ではアジア諸国でも景観を理由に外干しを禁じる場所が増えてきたということで、日本も瀟洒なマンションでは、洗濯物がベランダから見えない建築の配慮をとっているエリアも少なくない。

 そんな中、現代においてエコロジーへの配慮も手伝って「Right To Dry--洗濯物を干す権利」が主張されるようにもなった。アメリカではいくつかの州でその権利を保護する法律ができた。
 なにしろミシシッピ州では近年、外干し洗濯物が引き金になった近隣住民間の殺人事件さえ起きている。「洗濯物を外に干すなんて、ごくささいな問題に見えるがこれには個人の権利、私有財産、階級、美観、環境と色々な問題が絡んでくる」と、アメリカでの洗濯物論争をテーマにしたドキュメンタリーリー映画の製作者スティーブン・レイクは述べている。


 私は常日頃、社会の中での人間の様々な問題をテーマに扱っており、特に、等身大の自分の日常生活からそのヒントを得ることをベースとしている。
<主婦>という立場にも片足を突っ込んでいる私にとって、<洗濯物>というのは生活に根付く
身近な題材だ。


 今回のこの「洗濯物を外に干す」プロジェクトで、巨大な「洋服=洗濯物」をイメージとしたTシャツ型の布(それは旗や横断幕にも見える)を公園内に吊るした。

 興味深いことに、やはり公園内においてもダイレクトに「洗濯物」を<干す>ことはタブーとされた。日常的に、ホームレスの方々が公園内に居住し、そこで洗濯物を干すことを禁じている立場上、アートと言えども洋服を干すことは出来ないと言うことだった。ここでも、生活をコントロールせざるおえない社会と日常を垣間みることになり、非常に良い経験だった。
 そこで私は巨大な旗とみえるか、洋服と見えるかの境界線上にある大きな布を吊るすことにした。
結果、ただ洗濯物を吊るすよりもより美術的なアプローチに立った作品となったのではないか。
 この作品を鑑賞し、テーマを認識し、面白いと思う人もいれば、軽い抵抗を感じる人もいるかもしれない。
 鑑賞者はアートというフィールドの中で、その湧いた感情はなんだろうと考える。その時点で人は、社会の中で、自分個人がどういう立ち位置でもって世の中を見ているのかという場に立たされるであろう。これがまた一つのアートの愉しみと意義に通じてゆくのではないか。


ところで、私が前述した、「外に干された洗濯物を見るとなんだか平和だな」という感覚はあながち間違っていないのではないだろうか。
 人が他人の洗濯の外干しを許すとすれば、一歩、私たちの日常における平和的な感性の育ちに繋がりそうだ。平和とは、理解と許容の上に成り立っているのかもしれないと思うから。

 そして付け加えるが、3.11後の原発事故発生後しばらくの間、私は風に舞う放射能汚染物質を恐れて外干しをやめていた。
 外に衣服が干せるということは、健全な空気の中で暮らしているという、人にとって当たり前でかつ重要な、平和の象徴であると実感したものだ。

 そのような様々な思いを込めて、このプロジェクトに臨んだ。


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